笛の音色と共に…
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笛の音色と共に…
Column
「年末のご挨拶」
2022.12.26
日音の笛いつも有限会社日音のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

今年の初めにホームページを新しくして、もうすぐ1年になります。まだまだ情報不足なホームページですが、来年も皆様のお声を参考にして充実していきたいと思います。

皆様どうぞよいお年をお迎えください。
山田 卓
「舞台に向けて練習中!」
2022.12.23
来年1月9日に、藍ノ会の主催で「犬山こども長唄クラブ」の演奏とプロの演奏家による長唄三味線の魅力についてのトーク&コンサートを行います。

長唄の練習クラブの子供たちも舞台に向けて元気に練習しています。子供たちの演奏には大人がどんなにうまく演奏しても勝てない、子供たちの持つ自然な魅力があります。

予約不要で入場無料ですので、ぜひ多くの方に応援に来ていただけたらと思います。

「四季を奏でる長唄三味線の魅力」
日時:2023年1月9日 13時30分開演
場所:犬山南部公民館
山田 卓
「プラスチック製能管2」
2022.12.21
試作品のプラスチック製能管塩ビ管製の能管試作品の白いプラスチック製能管を、塩ビ管製の能管と一緒に見つけました。

プラスチック製篠笛の時もそうでしたが、少しずつ形を変えながら試行錯誤して、これが一番竹製の笛に近いであろう音にしました。もっとも竹製の能管は1管1管太さも形も違いますので、標準的な太さにしました。

教材用としても使いたかったのですが、結局リコーダーのような価格ではとても作ることができませんでした。とはいえ、竹製の能管は製作に大変な手間と時間がかかり、どうしても高額になります。趣味で能管を始める方たちにとっては最適なものが出来たと思っています。
山田 卓
「第276回長唄東音会の舞台が終了しました」
2022.12.12
先日、紀尾井ホールで「東音会」が行われました。コロナ禍が始まって以来、最近はだんだんと舞台も一見通常に近い様子にはなってきましたが、まだまだ舞台裏ではとても元通りとは言えない状態が続いています。

とにかく密にならないように心掛け、こまめに換気をしたりしていますが、「舞台を作り上げる」という作業だけでも手いっぱいになるところに、余分な気配りをしなくてはいけません。特に運営の中心の人たちは大変な苦労を強いられている状況です。

舞台以外の合わせ稽古などでは、マスクをしたまま唄います。マスクは口をふさいでしまいますので、とても唄いづらいです。舞台では口の前に布を垂らした形のものを使うときがあります。マスクのように完全に口をふさがないので多少は唄いやすいのですが、それでもかなり邪魔になります。

それを思うと、舞台上の演奏は無意識な部分でもかなり繊細なことをやっていることに気づきます。コロナ禍にあって、そういった気づきは救いになっているように思います。
山田 卓
「プラスチック製能管1」
2022.11.28
塩ビ管製の能管もう一管も残っていないと思っていました「塩ビ管製の能管」が出てきました。父が犬山東小学校で教員をしていた時に作ったものです。

当時は安価なプラスチック製能管がありませんでしたので、父が暇を見つけて作り生徒に持たしたものです。写真の物は塗装していませんが、全体を黒く塗装していたように思います。

当時、寶山左衛門(六代目福原百之助)先生に見せたところ、こっそり「舞踊会の下浚いで使っても、誰も気づきませんでした」とお墨付きをいただいたエピソードが残っています。

この塩ビ管製の能管は、後にプラスチック製能管を作るきっかけの一つになっています。
山田 卓
「一笨調子用の竹」
2022.11.17
今年の夏に珍しく「唄用一笨調子」の注文があり、在庫が無くなりました。セット管は三笨調子以上で、二笨調子や一笨調子の笛はほとんど使われません。ですので、在庫は1管しか置いていませんでした。

たくさん作らないのは、ほかにも理由があります。それは…材料がなかなか無いからです。しかし、在庫が無いままにしておくわけにはいかないので、せめて途中まででも作っておこうと倉庫から材料を探してきました。

一笨調子用の竹七笨調子用の竹と比べてみると、大きさが分かると思います。これほどの大きな竹は、1本も手に入らない年も少なくありません。

竹なんて毎年にょきにょき生えそうですが、一笨調子用ともなれば白竹でも貴重な材料になってしまいます。
山田 卓
「間について思う2」
2022.11.08
能管の練習 犬山こども長唄クラブで子供たちの能管の練習を手伝うために、「能管の口唱歌を言いながら三味線を弾く」という練習をしている時、三味線の「手」と能管の「手組」がまるで別々の動きをするので大変に苦戦します。

そういったことは、同じ楽器どうしでもあります。例えば三味線の本手と替手、笛なら古典の手法で作られた2管以上で演奏される創作曲…これらは2つ以上の「手」の絡み合いでできています。

そこには、いわゆる「ハモる」という感覚はあまり無く、実際に洋楽では汚い音とされるような2つの音のぶつかり合いがあちこちに使われます。それでも、そこには不快感がありません。思うに、曲の中で使われている全ての音一つ一つのあいだに「間」が作り出され、それが全体で曲の表現の大きな軸になっているのでしょう。

2つ以上の「手」の絡み合いが、「音」と「音」ではなく「間」と「間」の絡み合いと考えれば、自由な「音」のぶつかり合いが許されるような気がします。
山田 卓
「アロマ効果?」
2022.10.27
竹は真っすぐ伸びている様に見えますが、実際はずいぶん曲がっています。そのため、笛にするためには曲がりを直さなくてはいけません。火であぶり直していくのですが、この作業中によく眠くなってしまいます。

竹の切り口笛にする竹は乾燥させるために、切ってから5年ほど置いておきます。5年もすれば完全に水分が抜けきっていそうですが、火であぶると切り口から湯気が出てきます。すると、部屋中に竹の香りが充満します。

小学生のころ学校へ行く前によくお抹茶を飲んでいましたが、お抹茶を点てるときに湯に温められた茶筅からふっとする竹の香りが好きだったのを思い出します。

竹のアロマオイルはあまり見たことがないので、竹の香りで眠くなるのは私だけでしょうか…?
山田 卓
「煤竹の篠笛3」
2022.10.13
白竹篠笛と煤竹篠笛
白竹篠笛と煤竹篠笛
白竹篠笛を長年大切に使うと、飴色のとても良い色になります。煤竹篠笛を長年使うとどうなるかというと…実は表面の皮が無くなってしまいます。

とはいえ、その様になるまで煤竹篠笛を使い込んだ姿は、兄の福原寛以外にはまだ見たことが無いのですが…。

煤竹の色は、そもそもこれ以上変わらない状態なのです。そして100年以上も経っているので、表面の皮はもろくなっています。

相当使い込まなければ表面が無くなることはないと思いますが、皮が無くなっても寂びた姿が私は結構好きなのです。
山田 卓
「煤竹の篠笛2」
2022.10.03
煤竹という素材は茶道具や花器、建材などに使われます。長い年月をかけて囲炉裏の煙に燻されてついた色の美しさは、「わざとらしさ」が一切なく人をひきつけます。しかし、篠笛にとっての煤竹という素材は、見た目の美しさ以上に音に魅力があります。

白竹篠笛と煤竹篠笛白竹篠笛と煤竹篠笛の音色が違うわけは、刃物で削ってみるとわかるのですが同じ竹といっても白竹と煤竹では質がまるで違うのです。削ったところの見た目も別物なのですが、煤竹は削るときの質感も、竹というより「硬いバター」みたいに感じます。

数年煙に燻したぐらいではこれほどまでに竹の質が変わることは無いので、囲炉裏の無い生活になって久しい現在ではもう新たに煤竹が生まれることはないでしょう。さみしい限りですが、私には煤竹を作るために囲炉裏の生活をする根性は無いかなー。
山田 卓
「藍ノ会 浴衣会」
2022.09.27
藍ノ会 浴衣会先日、3年ぶりに通常スタイルの「浴衣会」を開催いたしました。コロナ禍の入念な感染防止や演奏会後の会食がお弁当に変更などの対応も怠らず、無事終了することが出来ました。

大勢のお客様にもお越しいただき、和やかなひと時が過ごせましたことを心より嬉しく存じます。

来年の浴衣会こそは、会員の皆様と一献傾けたいところです。
山田 卓
「煤竹の篠笛1」
2022.09.16
毎年、兄(福原寛)と2人で国立音楽大学へ、集中講義のお手伝いに行っています。4日間のうち兄が能管の指導を、私が歌唱(長唄)の指導を行っています。

日本音楽ことはじめその集中講義で毎回生徒に見せる映像があります。40年近く前にテレビの取材を受けた「犬山東小学校で音楽の授業をおこなっている父の映像」なのですが、その中で能管の授業を2年間受けた生徒に「新しい竹で作った笛」と「煤竹で作った笛」の音を聞かせると、ほとんどの子供が「煤竹のほうがいい音」と判断するということを言っています。

(この話は「日本音楽ことはじめ」にも書かれています。)
新煤篠笛この時の笛は能管だったわけですが、より素材そのものの形をした篠笛の場合ならば、新竹と煤竹に音の違いが出るのは当然です。

ただ篠笛の場合、新竹でも長年使い込まれた笛はとても魅力的な音がします。そうなると篠笛の新竹と煤竹の音の違いは、最終的に「好みの違い」になる気がします。
山田 卓
「犬山こども長唄クラブ夏企画」
2022.08.31
7月から延期となっていた福原寛瑞先生の演奏&交流会を、8月26日に行いました。大学院を卒業したばかりの福原先生こと高木瑞記さんは、犬山こども長唄クラブの子供達にとって地元犬山を卒業して演奏家をめざしている先輩でもあり、先生でもあります。

煤竹の篠笛笛独奏曲と長唄の笛の披露の他、子供達との交流会もありました。子供達が前々から考えていた質問を一人ずつ投げかけ、それに丁寧にお答えいただいたり、いつになく緊張した様子の子供達から刺激のある会であったように感じます。

今後のご活躍をみんなで応援しています!
山田 卓
「久しぶりの煤竹篠笛」
2022.08.16
煤竹の篠笛
煤竹の篠笛
注文を受けてからずいぶん時間がかかってしまいましたが、久しぶりに「煤竹の篠笛」を製作いたしました。十一、十二、十三笨調子唄用の3種類です。

十三笨調子になると、まるでミニチュアのような笛になります。指孔を押えるときは、指と指の間の隙間がありません。「お相撲さんのような大きな手の人は押さえられないのでは?」などと考えながら出荷しました。

このような高い調子の笛は、プロの笛奏者からの注文がほとんどです。低い調子の笛と高い調子の笛では指孔の幅が相当違うのですが、プロの演奏家は同じ様に扱うことが出来ます。演奏会へ行かれた時は、そんなことに注目するのも面白いのでは?
山田 卓
「塩ビ管の篠笛」
2022.08.02
塩ビ管の篠笛押入れを整理していたら、塩ビ管で作った篠笛が出てきました。父が小学校で音楽の教員をしていた時のものです。

当時、小学校の学生全員が個人持ちにできるような安価な篠笛はありませんでした。そこで、自分で作って生徒に持たせた笛です。

なにせ、やむなく塩ビ管で作ったものですので吹いてみると、いろいろと楽器としては欠点があります。ですが、教員の仕事の合間に学生全員分の笛を作るとなると、お金と手間をかけることが出来ません。それを考えれば、かなり良く出来た笛と言えます。

塩ビ管の篠笛を作った時、父はすでに竹製の篠笛を作れるようになっていましたが、昔「きちんと手抜きができるようになるには、きちんと本物が作れなくては無理だ」と父に言われたのを思い出しました。
山田 卓
「漆室」
2022.07.22
漆
漆
漆を塗って乾かす間、しまっておく箱を「漆室(うるしむろ)」とか「漆風呂(うるしぶろ)」と言います。

仕事場ではなく、生活している部屋に幅が一間半ほどの大きな室があります。家から車で10分ほどの所に漆職人がいて、漆についていろいろ教えていただきました。その方のお父様が94歳まで仕事に使っていた室で、引退するときにいただいたものです。

当時すでに笛用の室がありましたので必要なかったのですが、なにせ94歳まで現役で使われていた縁起ものです。ありがたくいただきました。

今は半分物置になっていますが、長年職人に使われていた風合いが気に入っているので、いつかまた室として使いたいと思ってます。
山田 卓
「漆は梅雨がにがて」
2022.07.19
今年の梅雨はずいぶんと短くて暑い日が長くなりそうだと思っていたら、また梅雨に逆戻りしました。

漆漆現在よく使われる塗料に比べて、漆は乾かすのにとても時間をかけます。

「漆を乾かす」とは言いますが、漆は湿気がないと乾きません。冬場の乾燥した時期にはいつまでたっても乾かなかったりします。

ならば梅雨の時期はよく乾いて良いのではと思われるかもしれませんが、ある程度の時間をかけて乾かさないと仕上がりが悪くなります。

乾燥している時は加湿するという手段が取れるのですが、湿気の多い時はどうにも手段がありません。前に除湿器を使ってみましたが、部屋の湿度計の値は下がっても漆はうまく乾きませんでした。自然には勝てません…。
山田 卓
「間について思う」
2022.07.05
先日、フルートを指導している友人と話をしていました。「随分前に篠笛を吹いてみたく購入したけれど、掴み所がなくそのままになってる」とのことでした。

西洋音楽を長く勉強をされてきた方こそ、様式の違う日本の篠笛の音は掴み所がないようです。音をとるだけなら容易に出来そうだけど何か違う…と直感が働くものかと思われます。

篠笛奏者の音を模倣して近づけることで理解できるかもしれませんが、お稽古などを繰り返し受けて実体験を重ねれば、西洋音楽との違いも理解できることでしょう。

でも、この辺りの答えを正確に、しかも万人に伝わる言葉というと未だ耳にしたことはありません。ただ音と音のあいだ…「間」に答えがありそうです。
山田 卓
「新しい焼印」
2022.06.27
旧焼印当社だけではなく、篠笛や祭笛にはどこの工房の笛かわかるように「焼印」が押してあります。

この焼印は高い温度で熱して使用するので、だんだんと痛んできます。
新焼印焼印字いつも使っている焼印ではないのですが、一つ新調しました。手始めに、先日たくさん作ったお祭用の笛に使ってみようと思います。

インターネットで少し調べてみると、最近は気軽に好きな文字やデザインの焼印を作ることができるようです。皆さんも好きな文字や印の焼印を作って、お気に入りの笛やいろいろなものに押してみてはいかがでしょうか?ただし、その際は火傷と火事にご用心。
山田 卓
「お祭用の笛」
2022.06.21
お祭用の笛
お祭用の笛
あと少しで、犬山市近辺のお祭で使われる予定の笛がたくさん出来上がります。

コロナ禍では皆で集まって笛を吹く事もできず、ここの所ほとんど作っていませんでしたが、少しずつ各町のお祭りが復活し始めているようです。

子供が参加する祭りでは「3年間もやめてしまったら途絶えてしまいます」という声を何回か聞きました。

長く続いたお祭りが消えてしまうのは、とてもさみしいことです。コロナなんかに負けず、町に祭りの音を響かせてほしいと願っています。
山田 卓
「極太能管2」
2022.06.15
骨董屋さんで状態の良くないものとして売られている能管は、ほとんどの場合「頭金」が無くなってしまっています。もしくは、別の適当な物をくっつけてあります。

ずいぶん前に骨董屋の店主に聞いたのですが、古い能管の中には作りの良い金細工の頭金が使われていることも多いので、抜き取って帯留めに加工したりしていたようです。

頭金極太能管の頭金も、やはり無くなっていましたので別の物を付けてあります。福原寛がどこかで見つけてきた、刀に使われる「目貫」というものの細工を加工して頭金にしました。なかなか良い獅子の細工です。

能管をお持ちの方は、頭金を自分好みに変えるのもアリではないかと思います。ただ、宝石はやめたほうがいいかも…。
山田 卓
「極太能管1」
2022.06.06
極太能管先日、兄の福原寛から「これ、少し手穴を小さくしてほしい」と言われて能管を渡されました。

その能管は福原寛が長年メインの能管として使っている楽器で、家では「極太能管」と言われてます。以前紹介した「髪の毛」の能管といい、まったく色気のない名前で呼んでます。

極太能管「極太能管」も、古いものを当社で直したものです。よく使いこまれており、右手の親指が当たるところが削れてへこんでいます。

楽器は使い込むとよくなじんで使いやすくなりますが、この能管のように形が変わるというのは、よほど吹き込んだのでしょう。

今は福原寛になじんでいるわけですが、特定の奏者になじんだ楽器は他の人が吹くと結構使いづらいものです。
山田 卓
「竹の選別2」
2022.05.24
笛の材料の竹
笛の材料の竹
今年の竹は太さといい節間(ふしま)の長さといい、一見とても良い材料がたくさんとれそうだったのですが…切り始めると、えぐれた様なキズがたくさんついていて、思ったより笛にできる部分が少なかったです。

まだ生えている時についた傷のようで、「これはいい笛になりそうな竹だな」と思いながら切り始めると、キズを見つけて「がっかり」の繰り返しでした。

それでも「生えている時に台風にあったのだろうか?」とか「増水した時に水の中で小石があたったのだろうか?」などと想像を膨らませながら、なんとか切り終わりました。
いらない竹たくさんのいらない竹が出ましたが、こちらは毎年、畑用に引き取ってもらってます。今年はその他にも、近所の人がうちわを作るために持っていかれました。
山田 卓
「竹の選別1」
2022.05.16
今年のゴールデンウイークは、犬山の城下町にも大勢の人が遊びに来ていました。そんな中、竹の選別をしました。

竹切台竹切台笛を製造し始めた頃から、竹を切る時に使っている台があります。なかなか良く出来ていて、形といい高さといいとても使いやすいです。

しかも、使わない時はパタッと平らにたたむことができ、場所を取りません。

「考えに考えて作りました」と言いたいところですが…じつはこれ、確か小学生の時ではないかと思うのですが、工作の授業で作った折りたたみ椅子の足の部分なのです。使いもせず、その辺にポイっと置いてあったものを再利用しています。兄が作った分と私の分で2つあります。
山田 卓
「藍ノ会 名古屋稽古場の紹介チラシ」
2022.05.10
藍ノ会 名古屋稽古場の紹介チラシ藍ノ会では、指導会員が一般会員を指導するシステムを取っています。そこで、この度指導会員の稽古情報を掲載したチラシをメイン会場であります名古屋稽古場のみ作成いたしました。

詳細についてはお問い合わせいただく必要がありますが、こちらのチラシも是非ご参考にしてください。
山田 卓
「長生きの楽器(能管3)」
2022.04.27
古い能管は数が少なく、とくに銘のあるようなものはほとんど出回ることがありません。ですが、破損がひどく長く放置されていたものでも、直して使えるようにすれば素晴らしい楽器に生まれ変わるものも稀にあります。

江戸時代以前の能管江戸時代以前の能管写真の能管はバラバラになっていたものを直したものです。とても良い音のする楽器で、おそらく江戸以前のものと思われます。

福原寛の舞台用の1管になっているのですが、私たちは「髪の毛」と呼んでいます。妙な名前がついているのは…頭金を外した中から丁寧に和紙で包まれた、きれいに束ねた髪の毛が出てきたからです。さすがにゾッとしました。
山田 卓
「長生きの楽器(能管2)」
2022.04.22
能管を修理するために分解してみると何度も直した形跡があるものもあります。何人もの人が大切に使っていたのが感じられます。

修理中の能管こちらの写真は修理途中の能管です。少々細いのですが、とても古そうでしたので時間のある時に遊びで直しています。

それほど破損していなかったのですが、まともに音が出ませんでした。仕方ないので音が出るように作り変えようと分解してみると…思っていた以上に古いもので、正確なことは言えませんが江戸以前の物ではないかと思います。少なくとも2回は修理されているようです。

昔のメモ書き頭(かしら)の中から鉛のオモリをくるんだ和紙が出てきました。ただのメモ書きのようですが、何だかワクワクします。
山田 卓
「長生きの楽器(能管1)」
2022.04.18
能管は、吹奏楽器の中ではかなり長生きの楽器と思います。江戸以前のものでも修理され、現役で使われています。

笛は息を入れるので、湿気が入り痛むことが多いのです。漆などを使って直しては使うのですが、とくに能管はかなり痛んでいても修理ができます。

中には唄口と手穴の間で、湿気のせいで朽ちて2つに折れたものもありますが、それでも修理可能です。新しく作ったほうが早いのですが、長い年月を経た能管はとても魅力的な音がします。

修理前の能管修理前の能管写真は修理前の能管です。手穴部分から管尻が何ヶ所も割れて、テープで止めておかないとバラバラになってしまいます。

材質がいいので直せば良い笛になると思うのですが、何年先になることやら…。
山田 卓
「定期演奏会の裏側動画」
2022.04.11
先日の演奏会の模様を動画にしてみました。本番の皆さんの演奏というより、演奏会に向けて取り組む会員の姿が中心です。
藍ノ会は通常のお稽古の他に、このような貴重な時間を皆で共有しているということをお伝えできたらと思います。
山田 卓
「藍ノ会 第31回定期演奏会」
2022.04.01
藍ノ会 第31回定期演奏3月27日の日曜日に「藍ノ会 第31回定期演奏会」が行われました。毎年行われてきた演奏会でしたが、一昨年前のコロナによる中止からこの度3年ぶりとなる開催でした。

感染対策を万全に行なっても安心できない状況下で油断のできない演奏会でしたが、開催から5日過ぎても会員・来場者より感染の連絡は届きませんのでようやく無事終了と言えるかと思います。

ホームページのリニューアルに伴い、演奏会の動画も作成しております。藍ノ会の皆さんの様子が少しでも伝わるものであればと存じます。尚、来年度の開催日につきましては例年では申し上げられるのですが、しばしこの現況と照らし合わせ、またこのサイトを通しご報告させていただきます。
山田 卓
「修理完了」
2022.03.22
篠笛の修理篠笛の修理割れた篠笛の修理が完了しました。写真に写っている上の篠笛は「真っ二つ」と言いたくなるほどの割れ方でした。

所有者の方からは「思い入れがあるので直してほしい」とのことでしたが、ありがたいことです。篠笛は消耗の激しい楽器ではないので一生使っていけるものですが、ずっと使っていたくなるような笛を作り続けていきたいものです。

ちなみに…上の篠笛はもうこれ以上割れる場所はないんじゃないかな?
山田 卓
「強い竹」
2022.03.14
割れの入った篠笛割れが入ってしまった篠笛の修理の依頼が来ました。理由はわかりませんが、ここ1年半くらい修理の依頼がとても多く感じます。

修理に来る篠笛は製作した年が様々で、中には煤竹の篠笛もありました。気候のせいでしょうか…?
割れの入った篠笛一番割れやすいのは手穴と手穴の間ですが、穴の開けていない場所で大きく割れてしまう笛もあります。

困ったことに、大きく割れる竹ほど音が良かったりします。そういう竹のことを「強い竹」と言っています。うちの中で何となく言い始めたことばです。
山田 卓
「今年の竹」
2022.03.07
青竹青竹今年も玄関先にたくさんの竹が山積みになっています。まだ青々としていて、動かしたり切ったりすると、ふっと竹の香りを感じます。

この後、笛に使える部分を切り出すことになりますが、使えない部分のほうが多いのです…。そのままだと大量にゴミが出てしまうのですが、知り合いが軽トラックで持っていってくれます。

畑で使うそうです。「笛になり損ねた竹」も、畑でナスやキュウリやトマトを支えているのを想像すると楽しい気持ちになります。

この竹が笛になるのは、だいたい5年後くらいです。
山田 卓
「演奏会の模様」
2022.02.28
長唄クラブの演奏会1月10日に行われた演奏会の模様が動画になりました。今回はわずか2曲の紹介ですが、長唄を唄ったり鼓などの楽器を演奏する子供達の様子をスチール入りでまとめてあります。

また、番外編では「クラブの子供達がどんな様子で長唄に取り組んでいるのか」といった、クラブの内側にもクローズアップしてみました。全国的にも非常に珍しい取り組みである「犬山こども長唄クラブ」の応援を、どうぞよろしくお願いします。
山田 卓
「道具で遊ぶ」
2022.02.21
並べて置いた笛歌舞伎音楽の舞台で、笛の奏者は自分の右側に「その曲で使う笛」を縦にきれいに並べておきます。

床は毛氈が敷かれている場合が多いのですが、笛は口を付けますので笛の下に敷物をして直接床につけないようにします。流派によって敷くものが違うのですが、茶道で使う古袱紗(こぶくさ)を2つ折りにして使う場合もあります。

古袱紗に決まった柄はありませんので、笛で使う時は好きな柄を選べます。茶道具のお店で好きな柄を選んでくるのもいいのですが、自分でも作れます。着物ほどたくさんの布はいりませんので、古布の端切れで遊べます。お気に入りの古布で作った古袱紗に笛を並べるだけで、とても楽しいものです。

古袱紗いろいろな布で作った古袱紗を並べてみました。下段の3枚は並べる笛の数が多い時のために、大きめに作った笛用古袱紗です。
山田 卓
「キズものの楽器」
2022.02.14
以前、木製のリコーダーが欲しくなり、目白にある古楽器の店に行きました。

斑入りの木製リコーダー「ちょっと吹いてみたい」という理由で買うのですから店の人には練習用の木製リコーダーをすすめられましたが、並んでいた中に一つだけ斑入りの物があり、どうしても欲しくなってしまってこれを買いました。「自然についた模様」には魅力を感じてしまいます。

篠笛は自然の竹をそのまま使って作るので、傷やシミが全くないということはほとんどありません。傷やシミがひどい材料は使わないようにしているのですが、何となく気が向くと傷物の竹でそのまま作ります。長く使うと「傷」も「景色」に代わっていくような気がします。

傷物の篠笛同じような傷の新しいものと古いものがありましたので写真を撮ってみました。
山田 卓
「犬山こども長唄クラブの取組み」
2022.02.04
2011年から、犬山でこどもと長唄を演奏する試みが行われてきました。笛は日音の「プラスチック製篠笛」と「能管」を用い、指導は藍ノ会の先生方に大変お世話になっております。

日音先代社長とクラブとの関わりについては、「クラブのはじまり」と題して犬山こども長唄クラブのホームページにまとめられております。

またこの度、1/10に行われた演奏会においても多くの先生方に助演いただき、告知記事が朝日新聞にも掲載されました。こちらもどうぞご覧ください。

子どもが親しむ本格長唄 愛知・犬山のクラブが10周年

今後も、日音共々よろしくお願いいたします。
山田 卓
「楽器を育てる」
2022.01.26
小学生の時、使えば使うほど抹茶茶碗の景色が変わっていくのが面白くて、毎朝自分専用の茶碗で抹茶を飲んでから学校へ行く…という時期がありました。今にして思えば、そのことが「道具を育てる楽しみ」を知ったきっかけのように思います。

楽器にも育てる楽しみがあります。演奏することが一番の楽しみですが、例えば白竹篠笛の場合、見た目にも色が変わっていくのを楽しむことができます。

たまに、当社の篠笛を長年使い込んでいただいた方から修理の依頼があったり、ご来店の時に見せていただくことがあると、美しい飴色になった楽器を羨ましく思ったりもします。ですが、使い込んだ本人が演奏するのが一番いい音がするとも思います。

古い篠笛稽古場の引き出しから古い篠笛が出てきたので、新しいのと比べてみました。使い込んではいないので光沢はありませんが…。
山田 卓
「ホームページをリニューアルしました」
2022.01.06
当ホームページをリニューアルしました。ニュース枠やコラム枠もできましたので、これからは積極的にご利用者様のためになるような情報も発信していきたいと思います。

プラスチック篠笛プラスチック能管日音は「篠笛」や「能管」など、日本古来の和楽器である「笛」にこだわって、製造・販売をしている日本有数の会社です。そして昔から「音楽教育」にもひとかたならぬ想いを持っており、教具として使うことのできる楽器を開発し、伝統音楽の教材化を進めてきました。

教具として使うことのできる「プラスチックの篠笛」や「プラスチックの能管」も、ぜひ日音にご相談いただければと思います。
山田 卓
藍ノ会
MOVIES'「篠笛を吹く」