伝統音楽による教育
Education
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伝統音楽による教育
Education
なぜ教材用のプラスチック製篠笛と能管を作ったのか
「伝統とは本質を変えないことであり、音楽ではその様式をかえないことである。音楽教育の教材はその様式に忠実で、単純明快でなくては子供を変化させる力はない」

この考えを貫き、当社ではプラスチック製の篠笛と能管を開発しました。
プラスチック製の
篠笛について
外観
先代が犬山東小学校の教員の頃(昭和60年頃)、学校でも扱いやすい日本の楽器として、初めてプラスチック製の篠笛を作りました。教材(篠笛の本)も児童に吹かせてみながら楽曲を選び、篠笛の基本が充分に学習できるように編集できています。

当社の篠笛「蜻蛉」から型を得ているため、プラスチック製ではありながら日本の伝統音楽に必要な調律が竹製と同じように施されており、すなわち音楽の様式を学ぶことができる楽器となっています。
プラスチック製の
能管について
外観
犬山東小学校では昭和53年ごろより塩ビ管に「ノド」を入れた能管を作って教具にしていましたが、2015年にようやくプラスチック製で安価な教材用の理想的な能管が完成しました。

見た目はあまり能管らしくありませんが、問題なく能管の音になっており鳴りも良いです。小学生でも簡単に鳴らして楽曲を吹くことができるよう開発されています。
なぜ七本調子の篠笛を教具にしたのか
篠笛は唄声の笛
大人の女性の唄声は六本調子、男性の唄声は四本調子ぐらいです。七本調子は小学生の高学年くらいの声になえりますので、少しうるさいが我慢できる程度の音となります。

八本調子は小学校低学年から幼稚園程度の声ですので、教室で大勢がいっせいに吹いてはたまらなくうるさくなります。
1
篠笛は六本調子や
五本調子の音が美しいが…
関東地方の祭囃子には篠笛が使われていますが、六本調子と五本調子が中心になっています。しかし、初心者が篠笛の手孔を漏れなくふさぎやすいのが七本調子です。

以前には、東京藝術大学で副科の篠笛は六本調子で吹いていましたが、当時の福原百之助先生が小さな手の学生にも使いやすい七本調子に切り替えられてから、現在も導入には七本調子が使われています。
2
三味線との合奏には
篠笛は戦後には独奏曲も書かれるようになりましたが、元々は祭囃子と歌舞伎の音楽の楽器です。したがって、合奏の場合は三味線音楽で活躍しています。

三味線も篠笛と同様に歌声の楽器であり、四本〜六本調子の音色が美しいです。篠笛の教材化には、このことが最も重要となります。
3
篠笛は
ドレミ音階の笛ではない
篠笛は単旋律の音楽(伝統音楽)の楽器として、タンギングのない日本語による音楽のための楽器として作られています。メリ・カリの奏法が容易な大きめの歌口、そして指が打ちやすくずらしやすい手孔の開け方になっており、篠笛の「一二三」を「ドレミ」とすると「ド」が鳴りづらい笛です。

これを鳴りやすく調律すると、右手の小指が無理をして伝統奏法ができにくくなります。したがって、それは篠笛とは言いにくくなります。洋楽の中に特殊な音として篠笛を使う場合は、六本調子を基本にして高い音を八本と十本調子で吹きますが、ドレミ音階に調律した笛を作って伝統音楽の篠笛とは区別しています。
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伝統音楽の教材化の意味は日本人固有の感性の目覚め
楽曲と楽器と記譜法がセットでなくては、心の深いところで音楽とかかわりあう感受性を育てるための教材にはなりえません。様式を異にした伝統音楽の楽器を、いわゆる西洋音楽の楽器と合奏させたのでは、どちらの感性も育てることができなくなります。せっかく長年培ってきた音楽教育を後退させることになってしまいます。

世の中の音楽はどんな試みがされても問題はありませんが、教材は「純粋で単純」でなくては、子どもの内なる変化を期待することはできません。
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現在この教育理念をもとに、犬山において「こどもに長唄を稽古する」取り組みが始まりました。

犬山こども長唄クラブ
藍ノ会
MOVIES'「篠笛を吹く」